VENENO を観ました ※概要以外のネタバレなし

VENENOを観ました。HBO MAXで配信中。日本での配信は未定ですが、配信してほしい願いも込めてメモ。
DRエスパーニャの感想を読んでくださってる方はご存じかと思いますが、前回の感想でも少し触れました。

VENENOとは
スペインのトランスジェンダー女性でLGBTQアイコンLa Veneno(ラ・ヴェネノはニックネーム/クリスティーナ)の人生を伝記本”¡Digo! Ni puta ni santa. Las memorias de La Veneno”を元に全8話のドラマ化したシリーズ。*wiki 幼少期から亡くなった後(伝記出版後)までが描かれています。
原作本の著者Valeria Vegas*wikiもトランスジェンダー女性です。憧れからラ・ヴェネノに取材を申し込み体の性別移行の後押しを受けます。交流を通して親友になった人です。原作本はプレ値&英語版(もちろん日本語版も)も出てないみたいなので残念。
ドラマでは準主役で、本人も他の役でカメオ出演しています。
ラ・ヴェネノの人生、現代のヴァレリアの人生が交錯するように描かれていて、過去と現在のトランスジェンダー女性への扱いの違いも描かれていきます。
トランスジェンダー女性の人生を描いているのでもちろん辛い部分も多いですが、映像が美しくオシャレでコメディタッチなシーンも多いので、辛くなりすぎずに見ることができ素晴らしいドラマでした。

監督
Javier Ambrossiハビエル・アンブロッシ/Javier Calvoハビエル・カルボ 2人組で「Los Javis」という名前で活動してるようです。
公私ともにパートナーで、監督業・アパレル・番組出演など2人組でやっています。DRエスパーニャのジャッジも。

すごい所①
当事者の俳優ばかり起用している
時代によって複数の俳優が演じていますが、性別移行~晩年を演じた3人の俳優は全員トランスジェンダー当事者です。

JEDET もともと体の性別移行の予定があったものの、ドラマのために(移行前を演じるため)時期を延期したらしい。記事

Daniela Santiago 全盛期のVenenoを演じていますが、そっくりすぎてすごい。

テレビに初登場した時のLa Veneno本人の映像
もともとセックスワーカーで、深夜番組で突撃取材をされたことで大人気になりTV番組のレギュラーになりました。

Isabel Torres 晩年のVeneno 晩年の彼女をメインに振り返る形で展開していくので最も激しくて強烈でイメージに残ります。

Marcos Sotkovszki 少年時代(ゲイ時代)であるJoselitoを演じています。 クィアボーイとして辛いゲイ差別も描かれます。
Marcos君、彼氏とのラブラブストーリーらしきものをアップしてるのでおそらくクィア当事者だと思います。個人的にゲイ役がストレート俳優だとがっかりするので素晴らしい。

Lola Rodríguez Venenoを取材し親友になっていくValeria役。(準主役) ロドリゲスもトランスジェンダー当事者の俳優です。

すごいところ② Venenoの親友が本人役でメインで出ている
Paca Te Lleva al Huerto (通称パカ)はセックスワーカー時代に友達になり晩年のVenenoと過ごした人。演技中で本人へのリアルな気持ちと重ねてるんだろうなぁ…というシーンがいっぱいあって胸が熱くなります。
DRエスパーニャのゲストジャッジでも出演。ランウェイテーマはLa Veneno!!

すごいところ③
俳優以外のスタッフもトランジェンダーの人たちを沢山採用していました。
ハビエル達のインタビュー記事にて※リンク
『彼らはまた、カメラの後ろで働くトランスジェンダーの人々をできるだけ多く雇用するようにしました。「LGBTコミュニティについてのストーリーを作りたいなら、LGBTの人たちと一緒にやらなければなりません」とアンブロッシ氏は語った。「これは重要なことです。なぜなら、これらは私たちの物語であり、私たちのように伝えることは誰にもできないからです」』

俳優へのインタビューでも※リンク
『また、ロドリゲスは、この番組で働いているトランスの人々の数の多さにも驚きました。”最初は、自分がこんなに大きなチームで、さまざまな職業のトランスのプロフェッショナルたちと一緒にいることが信じられませんでした。”番組では、カメラの前にも後ろにも、すべての部署に、非常に多くの才能を持ったトランスの人たちがいます。それが当たり前であるべきなのに、そうではありません。私たちは本当の意味で平等であるべきで、いつも底辺にいます。本当に力を与えられました。』

POSEでもこのようなキャスティング・雇用環境がエポックメイキングと称賛されてましたがスペインのTVシリーズでも同じような取り組みがされてたんだなと感動しました。
POSEは日本でも大人気なのでぜひVenenoも日本で配信される日が来ることを願っています…!

6/10追記 最高のタイミングで監督とメイン女優陣の対談記事が出ました!
それぞれのクリスティーナへの思いとか、裏話とかとても興味深いです。 写真も最高なのでぜひ見てみてください。
DIGITAL COVER: V ES PARA VENENO
大きい役/演技は初めてに近い人も結構いたみたいだけど全然気にならないというか、むしろ演技すげえって感じだったから驚きでした。
みんな監督(LOS JAVIS)のこと称賛しててやっぱそういう部分も手腕なんだろうなと思います。
全盛期演じたダニエラはクリスティーナと住んでたこともあるらしい(お互いDIVAすぎて1か月という短期間で終了)
パカとの喧嘩別れとかは演出で、実際には疎遠になっても亡くなる直前まで電話で話してたりやり取りはあったらしい。
それなりに脚色されてる部分もあるという事ですね。
決まってはいないみたいですが、監督がもっと語れる部分があるとスピンオフの可能性にも言及してたので期待です。